最近、「円安」「為替」という言葉をニュースでよく見かけます。
ただ、飲食店をやっていると、
「それって結局、うちの店に何が起きるの?」
「正直、何をすればいいのか分からない」
そう感じている人も多いのではないでしょうか。
実際のところ、円安は
派手に影響が出るというより、気づかないうちに効いてくる存在です。
円安で一番起きやすいのは「利益が静かに減ること」
円安の影響を一番強く受けるのは、やはり仕入れです。
コーヒー豆、チーズ、バター、ワイン、冷凍食材。
完全に輸入品でなくても、原料の一部が海外由来というケースは少なくありません。
仕入れの量も、メニューの価格も変えていない。
それなのに、
- 前より利益が残らない
- 忙しいのに手元にお金が残らない
こう感じ始めたら、
円安の影響がすでに店の中に入り込んでいるサインです。
値上げしていないのに、なぜ苦しくなるのか
円安のやっかいなところは、
一気にドンと上がらないことです。
少しずつ、
- 材料費が上がる
- 油や電気代が上がる
- 送料や間接コストも上がる
これが積み重なり、
1品あたりの利益が削られていきます。
値上げをしていない分、
その負担はすべてお店側が背負うことになります。
何もしないことが、一番リスクになる
「もう少し様子を見よう」
「今は我慢すれば戻るかもしれない」
そう考えて動かなかった店ほど、
あとから選択肢が少なくなっています。
- 急に値上げせざるを得なくなる
- 人件費やサービスを削る
- メニューの質が下がる
結果として、
お客さんが離れる理由を自分で作ってしまう
そんなケースも珍しくありません。
実際、飲食店はどう対応しているのか
円安対策というと、
難しいことを想像しがちですが、
現場でやっていることは意外と地味です。
共通しているのは、
- 大きく変えない
- 一度に全部守ろうとしない
この2点です。
ここからは、実際によく使われている対応を順に紹介します。
影響が大きい食材だけを見る
最初から全部を管理しようとすると、ほぼ続きません。
多くの店では、
「これさえ何とかすれば楽になる」
という食材が2〜3品あります。
- 金額が大きいもの
- 最近、明らかに高くなったもの
まずは、このどちらかだけを確認します。
全部変えない。少しだけ変える
円安対策で失敗しやすいのが、
「全部国産にしよう」とすることです。
実際に多いのは、
- 一部だけ切り替える
- 副材料だけ変える
- 平日限定で変える
といった部分的な調整です。
味が大きく変わらなければ、
お客さんはほとんど気づきません。
メニューの組み方を見直す
値段を上げる前に、
メニューの「組み方」を変える店も多くあります。
例えば、
- 原価が高いメニューはセット専用にする
- 利益が出やすい料理を目立つ位置に出す
- トッピングを別料金にする
価格そのものを触らなくても、
注文のされ方を変えるだけで利益が変わることはよくあります。
値上げは、小さく、分けて行う
円安が続く以上、
値上げを完全に避けるのは難しいのが現実です。
ただし、
- 一気に上げない
- 全部同時に上げない
これが現場の共通認識です。
50円〜100円ずつ、
タイミングをずらしながら調整する。
「値上げしました」と強調するより、
自然に変わっている状態の方が、反発は少なくなります。
値上げのときは、理由を一言添える
値段が上がること自体よりも、
何も説明がないことの方が不信感につながります。
多くの店で使われているのは、
ごく短い一文です。
昨今の原材料価格の上昇の影響(具体的な原材料名を入れるとなお良し)により、一部メニューの価格を見直しました。
お客様にはご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
これだけで、
納得してくれるお客さんは確実に増えます。
外国人客が来る店は、単価を意識する
円安の今、
海外から見ると日本の外食は「安い」存在です。
観光客が来る立地なら、
- 写真付きメニュー
- おすすめセット
- 少し高めのコース
こうした選択肢を置くだけで、
値上げをしなくても売上が伸びることがあります。
完璧な外国語対応は必要ありません。
選びやすくするだけで十分です。
円安は、対応した店だけが乗り切れる
円安そのものは、
個人の店ではどうにもできません。
ただ、
- 何を見るか
- どこを少し変えるか
これは選べます。
大きな改革はいりません。
小さな調整を重ねている店ほど、
今も、そしてこれからも安定しています。
まとめ
最近、なんとなく経営がきついと感じているなら、
それは努力が足りないからではありません。
環境が変わっただけです。
一度、仕入れとメニューを静かに見直してみる。
それだけで、次にやるべきことが見えてくることは多いです。

